わずか2年で評価額1000億円以上のAIスタートアップを作ったDave Rogenmoserって何者!?
2021年創業のJasper。なんと創業から2年足らずでユニコーン企業(起業10年以内で評価額1000億円以上の非上場企業)の仲間入りをしているのです!!そんなJasperの創業者Dave氏にフォーカスして見ていきます。
こんにちは、ウマたんです。
先週は何かと話題のOpenAI CEOのサム・アルトマンにフォーカスして話をしてきましたが、こんな感じでAI業界で活躍する人にフォーカスして色々調べながらまとめる方が日々流れていくニュースをただ垂れ流すよりも多くの人の役に立つ気がする!
ということで、誠に勝手ながらAIニュースはお休みしてこのニュースレターはAI業界で活躍する人にフォーカスしてお届けすることにします(また急な方針転換あるかもです)。
ということで今回フォーカスしたいのはこの人「Dave Rogenmoser(デイヴ・ローガンマザー)」
Dave Rogenmoserってどんな人?
Dave RogenmoserはAIスタートアップJasperの創業者。
なんと、身長が6.8フィート(2m以上)もある高身長ガイ。
そんなDave氏が指揮を取るのが2021年創業のJasper。なんと創業から2年足らずでユニコーン企業(起業10年以内で評価額1000億円以上の非上場企業)の仲間入りをしているのです!!
Jasperという名前はもしかするとライティングとかSEOとかやっている人の中には知っている方もいるかもしれません。
JasperはいわゆるAIライティングツールで、AIを使って色んなテキストコンテンツを生み出してくれるのです。
でも今ではその領域って過当競争に陥っていて今更AIライティングツール作っても厳しいし結局ChatGPTでいいじゃん?
そうなんです、今では有象無象のAIライティングツールが存在します。
しかし、Jasperは多くの企業に導入されていて、しっかり売上を立てていてめちゃくちゃな評価額になっているのです。
実は、JasperはChatGPT公開前の2021年に既にこの領域で事業をスタートしていたというのがミソ。
Jasperは既にOpenAIが公開していたGPT-3モデルのAPIを使ってツールを作っていたのです・・・!
先見の明がめちゃくちゃある。
Dave Rogenmoserのキャリア
ということでそんなDave氏のキャリアを追いながらJasperの成功を見ていきましょう。
Dave氏は、1989年生まれの34歳。
結論Dave氏のキャリアは、
SaaS系で起業して失敗→キャッシュ稼ぎの会社起業して疲弊→SaaSプロダクト作ってドーン→AI系でさらにドーン
Dave氏は、カンザス州立大学を卒業し、2014年5月に1つ目の会社「RedWood Recruiting」を創業しています。
そして同年2014年10月に「Market Results」という会社も創業。
詳しい事業内容はわかりませんが、Dave氏のインタビューを見るにいわゆる「RedWood Recruiting」がSaaS系のプロダクトを作って失敗した会社で、「Market Results」が目先のキャッシュをなんとか作るために広告代理店的な会社を作って展開していた会社だと思われます。
「RedWood Recruiting」は2014年5月-2015年4月の1年で廃業してるっぽいです。
なかなか上手くいかずもがいていた時期
インタビューでも語っていますが、最初にSaaS系のプロダクトを作ろうとしてエンジニア雇ったりで月1万ドル以上注ぎ込むもキャッシュを生むロードマップが見えずに頓挫したとか・・・!
それでキャッシュを得るためにマーケティングエージェンシーを立ち上げ広告運用などの代理店業で稼ぐ毎日。
しかし、日銭を稼ぐことはできても積み上がっていかない・・・
これめっちゃ分かります。
僕自身も独立してしばらく委託の仕事いくつかやっていました。
確かにキャッシュは生んでくれて安定はするのですが、これでは事業として積み上がっていかないし、稼げる金額は上がるけど結局サラリーマン時代と何も変わらない。
ということで委託業務はやめて自社事業にリソースを切り替えました。
委託業務は麻薬のようなものでそれに頼り続けるとなかなか抜けられなくなってしまうのです。
おそらくこれは独立した多くの人が通る道だと思っています。
Dave氏もご多分に漏れず、この道を通りました。しかし、このままでは終わらないのがDave氏のすごいところ。
代理店業からコンテンツ販売へシフト
まず、代理店業が嫌になったDave氏は今までの経験を詰め込んだオンラインコースを販売することにしました。
コンテンツビジネスは代理店業に比べて労働集約型ではないのでコンテンツがよければ自分が働かなくても勝手に売れて、売上が積み上がりやすいです。
ただ、コンテンツを作って売ることなんて誰でもできるので参入障壁が低い。
コンテンツ販売を伸ばし続けるには、そのコンテンツの価値を上げるのはもちろん、そのコンテンツを多くの人に届ける媒体が必要です。
またジャンルにもよりますが、コンテンツは鮮度が大事なので結局新しいコンテンツの追加やメンテナンスが必要になってきます。
僕自身も多くの媒体でコンテンツ発信をしていますが、結構大変。
コンテンツ販売もなかなかに疲弊するビジネスモデルになります。
ということでDave氏はコンテンツ販売だけじゃ終わらない。
やはりSaaS系のプロダクトへの熱い想いを捨てきれていなかったのです・・!
SaaSプロダクトの開発
Dave氏はある日、オンラインコースのCVRを上げるためにウィジェットを開発して導入してみました。
するとみるみるまにCVRが上昇!売上が上がっていくではないですか!
それを知り合いのWebサイトにも導入したところCVRバク上がり。
これはスケールできるぞ!ということで多くのクライアントに導入し、ソフトウェアで大きく稼ぐことになります。
それが以下のサービス「Proof」です。
https://useproof.com/experiences
なんと月に25万ドルもの売上にスケールしたそう。
このサービスの作り方めっちゃ理想的で自然な流れなんですよね。
「自分が使いたいサービス、自分の課題に根ざしたサービスを開発する」
Dave氏は起業当初、おそらくこんなビジネス稼げるんじゃないか?とかこういうニーズがあるんじゃないか?みたいな観点でSaaSプロダクトの開発に乗り出したはず。
しかし結局上手くいかなかった。
結局自分すら顧客にならないサービスはほぼ上手くいかない誰も使わない。
まず自分が顧客になるサービスを作ることが大事。
僕自身もいくつかサービスを開発してきましたが、自分が使わないサービスは大抵失敗に終わってます。
そしてそしてDave氏、このSaaSビジネスの成功により大金を得て悠々自適な暮らしを送りましたとさ、ちゃんちゃん・・・とは終わらないのがすごいところ。
AI領域への展開
2021年にAIライティングツールを提供するJasperを創業します。
2021年はまだChatGPTは登場していなかったので、世間的にはまだまだAIのノリではありませんでした。
しかし、そんな当時でも実はOpenAIがGPT-3のAPIを公開してめちゃくちゃ凄い精度を出力したことで水面下でAIは盛り上がっていたのです。
手前味噌ですが、GPTモデルの進化の軌跡に関しては僕のブログの「GPT-1→GPT-2→GPT-3→GPT-3.5→ChatGPT→GPT-4までの進化の軌跡と違いをまとめてみた」に詳しくまとめているのでぜひチェックしてみてください
そんな最中にまさにGPT-3のAPIを使ってライティングツールを提供するサービスをはじめたのがDave氏だったのです。
何度も言いますが、先見の明がありすぎる。
元々SaaSプロダクトで成功していることもあり顧客とのつながりもあるし、SaaSプロダクトの作り方や売り方をわかっているというのもかなり強いポイントですね。
実際Jasperは、現在出ているたくさんのAIライティングツールと比較して特段大きく違うところはないのですが、やはり早いうちから多くの企業と繋がって既に導入を進めていたこととそこから得たフィードバックやデータを元にプロダクトを磨き込んだりモデルをファインチューニングしたりしているところが強い。
Dave氏は「forbesの記事」でも以下のように語っています。
That’s where the customer relationship becomes critical: to understand their pain, and then go and build an application on top of these models that really solves that pain in a deep way. The models will be generalized. But there's always the ability to fine-tune and use the data that you have to differentiate and build. I'd say defensibility around that is where we focus.
顧客の課題に寄り添ってプロダクトを作ってきたことと、データをもとにファインチューニングしてきたことが大きな差別化ポイントになっていると。
結局Dave Rogenmoserの成功の要因って?
ということで今回は、Jasper創業者のDave Rogenmoser氏にフォーカスして語ってきました。
彼は今でこそ新進気鋭のAIスタートアップでユニコーン企業Jasperの創業者ですが、最初から成功を手にしていたわけではありません。
SaaSプロダクトでの起業に失敗し、その後は泥臭い代理店業をやってコンテンツ販売に切り替えて自分の課題に根ざしたSaaSプロダクトで一定の成功をおさめて、そこからJasperの起業に至っているのです。
そしておそらく一回SaaS起業で失敗しているプロダクト作りの経験や辛い代理店業で培った法人とのネットワークなどが今にめちゃくちゃ活きているのだと思います。
そう考えると全ては繋がっている。まさにconnecting dotsですね。
少しでもAI業界で活躍したい人、AI業界での起業に興味のある人の参考になれば幸いです。
コメントとかもらえると嬉しいです。
これからもAI界隈で活躍する人色々紹介してこうと思っていますので興味のある方はこの機会にぜひご購読を。
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それではまた来週!
参照リソース
How Jasper found product-market fit: Dave Rogenmoser on pivoting to AI SaaS
・The CEO Of Jasper On How He Built One Of The Hottest AI Startups And What’s Next For Generative AI