こんにちは、ウマたんです。
めちゃくちゃ稼いでいるsolopreneur(1人起業家)にフォーカスするこのニュースレター。
今回フォーカスしたいのはこの人「Tony Dinh(トニー・ディン)」氏!
ベトナム出身の30歳。僕と同じ年齢だ。
なんと会社を辞めて2年でいくつかのサービスを開発し、合計41kドル(約600万円)/月の収益に達している天才開発者。
彼のストーリーを紐解くと苦労の軌跡が見えてくる。
今大きな成功を手にしている誰しもが最初から上手くいったわけではなく、大きな試行錯誤の連続と苦労をしている。
なんと彼は今でも試行錯誤を続けている。2023年11月・12月に満を持してリリースした2つのサービスは全く稼げず失敗に終わってしまったというのだから・・・
それではそんな彼のストーリーを見ていこう!
ちなみに彼自身がニュースレターで自分の状況について毎月語っているのでそれを読むと彼のストーリーが見て取れる。
ソフトウェアエンジニアとして働く会社員時代
彼は大学でエンジニアリングを勉強しそのままベトナムの会社でソフトウェアエンジニアとして働きはじめた。
彼は収入の遷移をTwitterにポストしていて、これを見ると彼のソフトウェアエンジニアとしての収入がどれだけ低かったかが見て取れる。
2016年にフルタイムでソフトウェアエンジニアとして働きはじめた時の給料は月980ドル(現在のレートで15万円)。
おそらく当時のベトナムの平均月給から比べるとかなり高い方だったかと思うがそれでも相当安月給であることが分かる。
しかしソフトウェアエンジニアには夢がある。
そこから昇進や転職を繰り返して、最終的に月8800ドル(現在のレートで130万円)ほどの収入に達しているのだ。
途中でベトナムからシンガポールに移って大きく給料が上がっている。
給料を上げるなら場所を変えること。英語ができるならどんどん海外に挑戦すべき。
そして最終的にはZendeskという結構有名なアメリカ企業のシンガポール支社でシニアソフトエンジニアとして働いていた。
会社員やりながらサイドプロジェクトではじめての収益を得るまで
コロナで暇になったトニー氏は、indiehackersというコミュニティがあることを知る。
海外では個人開発者のことindiehackerと呼び、個人開発者コミュニティに活気がある。
日本と比べてマーケットが大きい海外ではソフトウェアで稼ぐ金額の桁が違うのだ。以前紹介したPieter Levels(ピーター・レベルズ)氏やDanny Postma(ダニー・ポズマ)氏もindiehackersのコミュニティの中でトップindiehackerとして紹介されている。
トニー氏はそんなコミュニティに触発され会社員をやりながら自らサービスを作り始める。
最初に取り掛かったのが、macOS appのビルドログが見れる開発者向けのサービスだ。
しかし6ヶ月経ってもなかなか完成せず最終的にモチベーションがなくなり開発終了。
続いてDevUtilsというエンジニア向けのツールを一つにまとめたパッケージを作成して知り合いに送ってみたところ反応がよかったので一般向けに販売開始。
Hacker Newsという「プロダクトを公開して反応を見る掲示板的なサービス」に投稿したところ良い反応をもらい、なんとHacker Newsのトップに数時間掲載される。
そして、この時はじめてサラリーマンの給与以外でお金を得ることに成功するのである。1回購入で9ドル。
継続的な収益につながらず挫折を味わう
最初の収益を得ることはできたトニー氏だったが、そこから継続的な収益を得ることの難しさに気付く。
Product Huntというサービスリリース掲示板に投稿したり、Google広告を試したりSEOの記事を書いたり、スポンサー広告を試したりしたが、どれも継続的な収益にはつながらなかったという。
僕自身もサービスを作った後の集客の大変さを経験しているが、多くの開発者はいいサービスを作ることに終始してしまい集客が抜け落ちてしまうことが多い。
その経験をもとに彼は、Twitterでインフルエンサーになる道を選ぶのだ。
Twitterで影響力があればそれだけで継続的な集客ができると考えた。
彼は古いTwitterアカウントをもう一度立ち上げ、DevUtilsの宣伝をはじめる。
・・・しかし彼はすぐに気付く。DevUtilsの宣伝なんて誰も見たくない。
ということでDevUtilsの宣伝はやめて、まずは多くの人と関係性を気付くことに終始するのだ。
他の人のTweetにリプライしたり、ジョークを言ったり、自分の得意なプログラミング領域で面白いTweetを作ったりし続けた。
彼のTweet戦略は以下だという。
・面白いものを作ってシェアしまくる
・他の人と絡む
・スレッドを書いて反応を得る
・ミームやジョークをTweetする
とにかくサービスの宣伝はせず、フォロワーを純粋に増やすことに注力し続けたのだ。
そして6ヶ月の努力の結果700フォロワーに達したそう。
6ヶ月努力し続けるってのがすごい。ちなみに今のトニー氏のフォロワー数は11.8万人。すごい。
僕自身、最近海外のTwitterでの発信を頑張っているが、かなりしんどい。
彼だってもともとはソフトウェアエンジニアなのだから、Twitterを伸ばすよりも良いプロダクトを作っていたかっただろう。
だけど、それだけではプロダクトは誰にも届かない。
どんな成功者でも最初は泥臭い努力をしているのだ。
Black Magicというプロダクトがヒット
泥臭い努力の結果、結果的に1000フォロワーを達成したトニー氏はBlack Magicというプロダクトをリリースする。
このプロダクトはTwitterのAPIを使ってプロフィールの丸画像の縁をプログレスバーのようなデザインにするというもの。
フォロワーが増えれば増えるほどプログレスバーは進捗していく仕組みだ。
これが、そこそこヒットしある程度継続的に収益が入ってくるようになる。
そしてこのプロダクトについての開発過程などをシェアすることで大きくフォロワーが伸びていく。
地道なフォロワー伸ばしも大事だが、結局自分のターゲット(この場合だとSNSを頑張って集客したい開発者)に刺さるプロダクトを開発しそれをシェアしていくことで影響力の獲得とプロダクトのグロースが良いサイクルで回りはじめるのだなと思った。
小さな成功を手にしたトニー氏。しかし、当時はまだフルタイムの会社員をやりながらのサイドプロジェクトだった。
会社を辞めて個人開発にフルコミット
2021年9月、トニー氏はとうとう会社を辞める決意を固める。
その時点で、Black Magicから300ドル/月の収益、DevUtilsから200ドル/月の収益があったという。
Twitterのフォロワーは8000人にまで達していた。
確かにこのくらいの収益があれば死ぬことはなさそうだが、この時点で既にエリートソフトウェアエンジニアの道を歩んでおり月収は130万円だったことを考えるとなかなか辞める決断をするのは難しかっただろう。
とはいえ、ベトナムで過ごすのであれば4年間分の生活費は貯金したうえでの独立であり、どうせダメでもまたフルタイムのソフトウェアエンジニアに戻ればよいというバックアッププランあっての決断だった。
Black Magicの機能を拡張して大ヒット
フルタイムをやめて独立したトニー氏は主力プロダクトのBlack Magicの開発に注力する。
彼はBlack Magicに新たな機能を追加してTwitterのデータを可視化できるChrome拡張機能を開発。
それが大ヒットし、なんと4kドル(60万円)/月の収益になる。
この時Twitterのフォロワーは2.8万人にまで到達していたという。
この4kドルまで達するのはわずか4ヶ月。しかし、この4ヶ月の間トニー氏は1日16時間働き続けていた(開発に12時間、Twitterに4時間)。
驚異的な仕事量である。成功者には誰しも必ず本気で働き続ける期間が存在する。
僕自身は自分のことを全く成功者だと思っていないが、それでも新卒1年目から新卒3年目くらいまでは会社に7時に行って9時まで副業して9時から18時まで本業で働いて19時から23時まで副業するみたいなワーカーホリックな生活を繰り返していた。
ランチも極力自分のインプットの時間に使っていた。土日も基本夜までは副業の時間にあてていた。
今はそこまでやる気力・体力がないが、成果を出し続けている人は結局圧倒的な量をこなしている。
圧倒的な量をこなすと、誰にも負けないぞという自信がついてきてその自信からさらにパフォーマンスが上がる。
大事なのは誰かに言われて無理やりやらされている労働ではなくて自ら選び取って働く労働であるということだ。
さて、トニー氏の話に戻ろう。
そこからBlack Magicは数ヶ月ほどで最終的に13kドル(約200万円)/月に達する。
いくつかの新サービスのリリース
そこからトニー氏は他にもいくつか他のサービスをリリースする。
まずはXnapper。これはTweetのスクリーンショットをキレイに見せるツールで今では6kドル(90万円)/月の収益があるという。
さらにChatGPTの登場にあわせて新たなプロダクトをリリースした。
ChatGPTのAPIを使ってより使いやすいUIで開発したテキスト生成アプリTypingMind。
TypingMindは、なんと現在33kドル(500万円)/月の収益があるという。
TwitterのAPI有料化でBlack Magicの売却を余儀なくされる
順風満帆かに思えたが、イーロン・マスクがTwitterを買収しTwitterのAPI有償化を宣言したことで暗雲が立ち込める。
TwitterのAPIにもろ依存しているBlack Magicは、TwitterのAPI利用料を払うとサービスが赤字になってしまうという事態に・・・
これ以上運営継続できないと判断したトニー氏は、不本意だがBlack Magicを128kドル(2000万円)ほどで売却することに。
この経験からサービス開発は一つのプロダクトに絞って行うべきではなくて、リスクを分散させるために複数プロダクトを開発すべきだとトニー氏は言う。
特にAPIに依存したサービスは、突如としてAPI利用料が上がったりAPIが使えなくなったりする可能性があるため注意が必要である。
Tony Dinh(トニー・ディン)氏 まとめ
Tony Dinh(トニー・ディン)氏のストーリーを見ていると色んな挑戦や試行錯誤をしているのが見て取れる。
彼は、成功のチップスとして以下のようなことを挙げている。
・あなたがフロントエンドエンジニアならフロントエンドだけにフォーカスするのではなくて、バックエンドもモバイルも、マーケティングもデザインも全部やろう!ジェネラリストになろう!20%の努力で80%の知識を得ることができる。プロフェッショナルになるな。
・自分のことに興味を持ってくれるユーザーを作ろう!TwitterでもRedditでも他のコミュニティでもいいから影響力を付けてプロダクトの集客に活かそう。
・考えすぎずにすぐに開発、小さく開発。
・顧客に刺さる一つの価値にフォーカスしてプロダクトを作ろう。
どれも特段目新しいことではないが、それでもこれをしっかり愚直にやり続けることが大事なのだ。
これを守ってやり続ければあなたもきっとトニー氏のようになれるだろう。
ということで今回はTony Dinh(トニー・ディン)氏にフォーカスしてきました。
いかがだったでしょうか?
AI界隈で活躍する人色々紹介してますので興味のある方はこの機会にぜひご購読を。
役立った!と思ったら周りの人にシェアいただけると嬉しいです。
AIの詳しい理論や実装方法を学びたい方へ
AIの詳しい理論や実装方法が知りたい方はぜひWebメディア「スタビジ」やWebスクール「スタアカ」をチェック!
それではまた来週!